タクサードのブログ(仮題)

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デザイナー元年

はじめに

前回の記事でオタ活を振り返ったように、もう1つ今年の振り返りをしたいと思います。

今年はPSVRが発売されてVR元年とか言われてるらしいですが、僕にとってはデザイナー元年となった1年でした。

 

今年の制作

高頻度でTLに浮上しているツイ廃フォロワー様には今更かとは思いますが、今年はDTPDesktop Publishing)というものに取り組み始めました。本やポスターなどの制作をPC上で行うことです。誌面(紙面)の雰囲気やレイアウト、色使いやフォントなどを決めて制作し、そのデータを印刷会社に入稿までするわけです。
大学サークルで発行している冊子の制作が中心なので、エディトリアルデザインがほとんどですが、スライドやロゴのデザインにも少しずつ手を出しています。グラフィックデザインという言葉が良いですね。

僕がデザイナーとして今年取り組んだグラフィックデザインの制作を順番に振り返っていきます。

  1. 活画古今見聞録 2016spring

    頒布日 4月4日
    アニメーション研究会で発行している部誌で、春部誌と秋部誌があります。春部誌は新入生勧誘で見せるものです。部員がそれぞれ寄稿した文章をまとめています。先輩から編集長兼デザイナーの任を引き継ぎ、デザインとDTPの右も左も分からない状態でPhotoshopIllustratorInDesignと向き合うところから始めました。感覚を頼りにしてイジってるうちにPhotoshopIllustratorはとりあえず使えるようになりました。画像編集フリーソフトGIMPコラ画像作ってた経験と、動画制作でAfter Effectsを使ってAdobeのUIに馴染んでいたのが役に立ちました。
    ただ、InDesignがクセモノで全然分からない。先輩が用意してくれたテンプレートのお陰で大助かりしましたが、InDesignを十分理解しないまま制作が終わりました。特にマスターページの機能と、画像を配置したときのフレームには振り回されました。印刷所への入稿も初めてなので、ルールや守るべきデータの体裁も曖昧な理解で、トドメには紙質やコート加工まで決めろという。分からないことだらけでググり続けたのを覚えています。
    心がけたのは、コンテンツを見開き単位に収めることコンテンツ毎に視覚的な差別化をすること。過去に発行した部誌を見て、ページの途中で記事が変わっていることと、どの記事も似たような見た目になってるのが気になったので改善しました。企画ページみたいなものはなく原稿を載せるものなので、視覚的な差別化って方法が限られるんですよね。そこで各コンテンツの雰囲気を伝えるようにタイトルを文字だけにせず工夫しました。背景も何かしらできると良かったのですが、そこまで考えが至りませんでした。見開き単位に収めるのは、タイトルの大きさを調整して対応しました。(見開きに収めるってエディトリアルデザインの初歩の初歩なんですかね…)
    印刷所から送られてきた完成品を初めて手に取ったときは、自分の書いた原稿が載っていることもあり、嬉しかったり感動したり… 今になって見返すと、改善点や反省点は多いですが、初めての制作良くやったと当時の自分を褒めてあげたいです。デザインの面白さや楽しさは十分に感じました。

  2. 声優同好会の新歓チラシ

    頒布日 4月1日
    頒布日が前述の部誌より先ですが、制作したのはこちらが後なので2番目にしています。
    特に説明は要らないでしょう。新歓チラシ。サークル勧誘のために新入生に配るものです。これはデザインしたと言えるほどデザインしてません。毎年決まりきった形式があるので、去年のものを参考に作り変えました。去年まではPowerPointで作られていましたが、Illustratorで作ったので少しばかり改良しました。揃えるところはキッチリ揃えて、真っ白だった背景を水玉ドットにしました。デザインよりもIllustratorをもう少し練習しようみたいな意味が強かったです。それでも今ならもっと効率的に作れます。当時はまだまだ知らない機能が多かったですから。
    チラシに載せるための地図も作りました。この頃はまだインフォグラフィックなんてものは全く知らないので、今見るとそんなに良い地図じゃないです。

  3. バイト先に提供したポスター

    公開日 4月初旬
    さっきの新歓チラシと同じ理由で、制作順で3番目です。
    バイト先の塾で張り出しました。日付まで覚えてません。ポスターといってもレーザープリンターで刷ったA4です。ビラという表現が適切でしょうか?
    春から新しい教室長がやってきて、教室内の掲示物が一新され、一瞬で創英角ポップ体に埋め尽くされました。理由を聞くと個人的に創英角ポップ体が好きだといいます。随分フォント感がMSOfficeに侵されているようです。僕はデザインビギナーではあるものの、創英角ポップ体の乱用に居心地の悪さを感じるくらいのデザインセンスと知識は持ち合わせています。
    講師個人に貰える引き出しのネームプレートまで創英角ポップ体になり、出勤するたびに創英角ポップ体でプリントアウトされた自分の名前と向き合うのですから我慢の限界です。理由を聞いたついでに苦言を呈したら、「デザインできるんだ? 次のイベントの告知用でポスター作ってみてよ」的なことを言われて、「上等だ。やってやる!」みたいな意気込みで制作しました。
    デザインを勉強したてで、前述の部誌の入稿も終わった頃。自己顕示欲と制作意欲に満ち溢れていたんですね。張り切ってロゴの制作までしました。創英角ポップ体乱用マンとの差別化を図るべく、明朝体を中心にオシャレでスタイリッシュを意識して作りました。
    この制作を気に、教室内の掲示物から創英角ポップ体の出現率が減った気がします。制作した甲斐がありますね。しかし、まだまだ出番があるのでMSOfficeの侵食は根深いようです。次の4月には、創英角ポップ体の自分の名前と向き合い続けて1年になります。ウンザリしてきました。ラノベPOP、けいふぉんと、源柔ゴシックあたりを紹介してあげたいです。
    皆様も創英角ポップ体ハラスメントにはご注意を。今となっては、フォント選びの大切さを語る上で欠かせないエピソードになっています。ありがとうございます(?)

  4. 活画古今見聞録 2016Autumn

    頒布日 11月19日
    こちらは秋部誌と呼ばれるもので、学園祭で頒布しました。
    制作開始は春の怒涛の制作ラッシュから3ヶ月ほど経った、夏休みに入る手前の8月頃。3ヶ月に何をしていたかというと、デザインの本をしっかり読み始めました。今までは付け焼き刃の知識と技術で、手探りで制作していました。しかし、これではダメだと思ってデザインのセオリーとか基本みたいなものを一通り勉強したわけです。マージンと版面、レイアウトの基本構成、タイポグラフィ、色の使い方、そしてそれらの与える印象などなど。それまで全く勉強しなかったわけではないですが、どうしてもソフトウェアの使い方に偏ってました。つまり道具は扱えるようになったものの、その道具で作るべきもののアイデアが抜け落ちていたんですね。
    いくらPhotoshopIllustratorInDesignを知り尽くしても良いものはできません。そのうちアイデアが枯渇して同じものばかりになってしまう。春までは作るべきものが大方決まっていた。ある程度の設計図が出来上がっていたので、それを実現する手段だけで良かったわけですが、それでは限界が見えているので知識強化に努めました。
    本を読んで、僕が感じたのは井の中の蛙大海を知らずです。今まで制作したものを見返すと、改善点が山のように見つかって、どれも基本的なことばかり。本を読み進めるほどに自分が恥ずかしくなっていきます。今まで出来なかったことがちょっと出来るようになって、はしゃいでただけだと気付いて、自らの愚かさと未熟さを思い知りました
    そんな訳で、デザイナーとして新しく気持ちを入れ直して制作に臨みました。2016springと同様にコンテンツは見開き単位に収め、見た目の差別化は申し訳程度のものから、よりしっかりしたものに。特集記事のインタビューや、企画記事もあるのでやりやすかったです。前回は先輩の指導を受けながらの制作でしたが、今回は僕が後輩の指導をしながらの制作になったのが、大きく変わった点です。(といっても完全に自立したわけではなく、先輩にはこのデザインどう思います? みたいな相談はしました)後輩にもしっかり誌面を作ってもらわないといけないので、教えるスキルやマネジメントスキルが求められました。
    追い込みの時期はしんどかったですが、2016springよりは全体的にブラッシュアップされたと思っています。InDesignの扱いも随分馴染みました。
    (無事入稿した翌日には、ばくおん!!のイベントを楽しんできました。仕事終わりのイベントは格別ですね)

  5. 声優同好会イベント用スライド

    公開日 11月19日
    声優同好会主催のイベントで使うスライドです。

    初めての本格的なスライドデザインになります。前述の秋部誌の制作期間中に、後輩に「時間あったらスライドのデザイン直してあげるわ~」みたいなことを無責任に言ってたら、入稿後にホントに仕事が回ってきて、何を思ったか「よっしゃ任せとき!」と言って快諾しました。入稿後でテンションが上がってたか、疲れて判断力が鈍ってたんでしょう。「みりあやんないよ?」みたいに言えればよかったんですが…
    真っ白なスライドに必要な文字だけは配置されていたので、テーマを決めて、コーナーごとに見た目を統一して…といったことをしました。
    この制作をキッカケにフリーフォントを大量にインストールPowerPointでの制作になるので、Illustratorみたいに文字をアウトライン化して変形したり、長体にしたりが不便です。そこでフリーフォントに頼りました。その頃「#推しフリーフォント」というタグが流行っていたので試したかったというものあります。フォントに貧弱なWindows機もマシになったことは大きな収穫です。制作期間1週間というギリギリの制作でしたが何とかなりました。何とかしました。運の悪い(?)ことに制作が佳境の11月17日、なおぼうソロデビューの発表があって、精神状態はガタガタ。完成したのはイベント前日。こんなに疲れる制作は後にも先にも無いでしょう。
    ガタガタな精神状態について詳しくはこちら

    去年までのスライドはPowerPointのテンプレートそのままで、デザインと言うにはデザインに失礼な代物なので、見本になるようなものが一切無い状態。他の大学サークル主催の声優イベントには僕も何度か行っていますが、スライドをじっくり見たことはありません。演者を見ますからね。プレゼンというスライドの本来の用途でもないので、完全に手探りでの制作になりました。しかも本番と同じ状態でテストできるのは前日の夕方1度だけ。
    なるべくシンプルに、かつコーナーごとの雰囲気も出るように心がけました。今までのイベントスライドの中では抜群に良いものだと思います。(比較対象が最底辺なのでそうなりますね…)
    イベントの1週間後、立命館大学 Voice & Animation 研究会主催のイベントに行きました。

    目的はスライドをじっくり見るため。(みかこしのイベントなんで、元から行く予定でしたけど)非常に凝った、見ていて楽しいスライドでした。とてもPowerPointとは思えないデザイン。流石VA研は違うなと思いました。みかこしもスライドの完成度に驚いていたようで、イベント中に何度か「スライドすごいですね…」と言っていました。みかこしは明治大学九州工業大学学習院大学の団体が主催するイベントにも呼ばれているので、その中で見てきたスライドと比べても完成度が高いのでしょう。スライドをデザインした会員が会場警備にいたのか、舞台裏方にいたのか分かりませんが、心の中で大きくガッツポーズをしてるんじゃないでしょうか。声優をデザインで魅了する経験はなかなか出来るものではありません
    負け惜しみに聞こえるかも知れませんが、見た目が豪華な凝ったスライドが必ずしも正解では無いんですよね。もちろんPowerPointのテンプレートや真っ白の背景に文字だけのスライドよりはベターだと思います。僕みたいにデザイン噛じってるオタクとしてはイベントの楽しみが増えるので大歓迎ですが、 会場に来る人は何もスライドが見たくて来てるわけではありません。見ていて楽しい、惹きつけるスライドも主張しすぎると考えものですよね。出しゃばらない名脇役になれるデザインが求められるので、そういったバランスを考えると制作の難易度は非常に高いと思います。

  6. SEIREN 2016WINTER

    頒布日 12月30日
    声優同好会の会誌です。夏コミと冬コミで頒布するため、年2回制作をしています。コミックマーケット91の2日目である昨日、頒布されました。2016SUMMERまでデザインをされていた方がSEIRENの制作から外れられたので、僕が後を引き継いでデザインしました。
    アニメーション研究会の活画古今見聞録とは違い、企画ページが主体で雑誌風です。文字がひたすら続くことはなく、レイアウトも視覚的な要素が多めです。前任のデザイナーさんが2014SUMMERからの5回の制作でデザインの統一化をして下さっていたので、それに倣って今までの雰囲気を維持するように真似もしながら、アレンジもしながらデザインしました。
    テンプレートを作って文字を流し込めば良いものではなくて、レイアウトには悩みましたし頭を捻りました。既に上がっている原稿をどうページに収めるか。ただ収めれば良いというものでもなく、整頓されてないといけない。雑誌風と言いつつも余白多めで落ち着いたオシャレな雰囲気が目指されているようで、賑やかな装飾や裁ち落としは少ないです。それでも見た目スッカスカはマズイので、原稿や量が足りないページは工夫して密度を上げます。こういった部分はデザイナーの腕が試されると思います。その中でロゴや表の制作をしました。表のデザインは初めてでしたが、完全に機能美の追求だと思いました。
    この制作で学んだのはグレーの使い方。SEIRENも活画古今見聞録も本文はグレースケールなので、デザインの本に書いてある色の使い方はあまり参考にならないんです。(グレースケールでの色の使い方を解説してる本があったらぜひ教えて下さい)前任のデザイナーさんが制作したSEIRENの過去号を見ながらグレーの使い方が身に付いてきました。それまでのグレースケールの制作はグレーを活用できず、モノクロみたいになってます。
    というわけで自身の制作物初のコミケを無事乗り切りました。制作者本人はコミケに行ってないので制作物が独り歩き状態ですが。まだ完成品を見ていないので早く見たいものです。

 

夢中になった理由

長くなりましたが以上が今年の制作です。全部で6回。制作時期が集中してますが、2ヶ月に1回の頻度です。1年目にしては頑張ったんじゃないでしょうか。1年でここまでデザインに夢中になった理由として、何か作りたいという気持ちがあったんだと思ってます。

中3からペイントで画像を触り始め
高1になるとムービーメーカーで動画編集を始め
高2で文化祭のクラス発表が動画制作になったので動画編集を担当して、GIMPも使い始め
高3のときの文化祭では、ブロック(学年の縦割り)の動画制作でまた動画編集をして
大学に入ると、アニメ制作を目的にアニメーション研究会に入会しました。KMCにも入ってJavaScriptを書いたり、Blenderで3DCG触ったり、Rubyを書いたりもしました。
そんな感じで色々やってみる中で手を出したのがデザイン・DTPでした。(他のものは端的に言って挫折しました。画像編集はデザインの一環とコラ画像制作で続けています)

そしてDTPに取り組む後押しになったのが目標にもなる良いお手本となる人。アニメーション研究会の先輩と声優同好会の前任のデザイナーさんの存在です。少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。というやつで、影響は大きいです。サークルの仕事を引き受けて、やりたいではなくやらないといけない状況にできたもの良かったかもしれません。

デザインをやってみて勉強してみて分かったのは、デザインが活躍する場面は思った以上に多いということです。身の回りのあらゆるところでデザインが生かされています。それはつまり自分のデザインの知識や技術が役立つ場面も多いということで、これもデザインに夢中になった理由だと思っています。

 

課題と目標

そろそろデザイナー2年目を迎えるのでそれに向けた話をしましょう。

まずはデザインの幅を広げること。読んだ本の影響か、制作物の傾向からなのか、シンプルでスタイリッシュでオシャレな…というと自分でハードルを上げてしまってますが、全体的に落ち着いたデザインは得意です。週刊誌やスポーツ新聞のような賑やかで紙面いっぱいのデザインは苦手です。経験も手頃な手本も無いからどう作っていいのか分からないだけかもですが。色んなデザインができるようになりたいです。

そしてフォントのレパートリーを増やすこと。フリーフォントをインストールしてはいますが、まだまだ使いこなせるフォントが少ない。たまにフォントワークスとかモリサワが欲しくなりますが、一気に手持ちが増えても使いこなせないでしょう。少しずつ増やしていかないと使いドコロを見誤る気がします。本音を言うと、HelveticaOptimaが欲しい(Windows使いの嘆きの声)。ついでにA1明朝体マティスも。ライラもコメットも欲しい。空から降ってこないかなぁ。
一応言っておくと、絶対フォント感が欲しいわけではありません。正直なところ小塚とヒラギノの違いにこだわったり、細かいタイポグラフィにうるさくなるつもりはありません。それよりは適切な場面で効果的にデザインフォントが使えるようになりたいです。フォントはホントに難しいですね。

次にマネジメント能力の強化。プロの現場だと編集者、ディレクターなど役割分担が明確にされてるんでしょうけど、大学サークルで制作をするとデザイナーをしながら編集長の仕事を一部あるいは全部やることになります。そこでマネジメント能力の不足を感じました。声優同好会の前任のデザイナーさんが僕の人生で出会った中で、最もマネジメント能力を持っている人ですが、形に残るものでもないので真似るもの難しいです。直近でどうすれば良いかイマイチ分からないので誰か教えてください。(努力の放棄)どうすればマネジメント能力が身に付きますか? もしドラでも読めばいいですか?

最後、何よりの課題は精神訓練です。活画古今見聞録 2016Autumnの制作前にデザインの本を読んで勉強してからというもの、自身の制作物を他人が見る場に立ち会うのがしんどいです。それまでは制作物に対して誇らしげだったのですが、デザインの知識を得れば得るほど、自分で作ったものを過小評価してしまいがちです。井の中の蛙が大海を知ってしまって愕然として、「所詮は蛙だったんだ…」と頭を抱えている状態です。
なので活画古今見聞録 2016Autumnが頒布される学園祭は全休しました。ただしその代償(?)にイベント用のスライドが使用され、同時に200人超えの人々が見る場に立ち会うことになりました(こっちは流石に休めない)。覚悟はしてましたが、しんどかったです。精神的に。(振り返ってて気付きましたが、イベント用のスライド制作であまりにも自分を追い込みすぎじゃないですか?)SEIREN 2016WINTERが頒布されるコミケに行かなかった理由の一部もこれです。(他の部分は実家ぐらしとか、実家ぐらしとかが占めています)
もちろん立ち会いたい気持ちはありますが、今は怖いもの見たさみたいな部分があるので。改めて胸を張って堂々と制作物を見せられるようになりたいですね。

 

終わりに

動画制作やコーディングへの挑戦と挫折を経てデザイン・DTPに落ち着いたのは巡り合わせも大きいです。今年はかなり制作の機会に恵まれていたので良いスタートダッシュになりました。デザインは楽しいですし、これからも制作と勉強を続けていきたいです。