タクサードのブログ(仮題)

タクサードのTwitterの延長です。

我慢は良くない

はじめに

先日、院試終わって初めてのオタクイベントに参加してきました。9月16日の京まふです。

厳密には9月10日にAD-LIVEのライブビューイングに参加してましたが、アドリブとは言え、舞台演劇という初めてのイベントだったので、声優のトークあり掛け合いありの馴染みイベントは院試後初めてでした。

シンデレラガールズ劇場宝石の国トークショーの2つに参加しました。

特に何かあったわけではありませんが、めっちゃ楽しかったです。

イベントって行くだけで楽しいし、笑顔になって、気分が前向きになります。

 

院試前最後に参加したイベントが、5月28日に名古屋であった東山奈央さんの『イマココ/月がきれい』のリリイベでした。

積極的にイベントに行くようになってから、これだけ長期間イベントに行かなかったのは初めてですから、完全に飢えてたんだと思います。

久しぶりに感じるイベント会場独特の雰囲気は良いものでした。

 

悪循環

そんなイベントを終えて思ったのが、院試期間に我慢しすぎたかなってことです。

少し追い詰められた自分を、自分でさらに追い詰めてしまって、アニメ見るくらいのオタ活しかしなくなってしまいました。

その時期に公開されたアニメ映画も色々あったし、行きたいイベントもあったけど、院試を理由に行きませんでした。

 

イベント行きたかったけど行けなかった悲しみを以下のように呟いていたわけですが、

こんな思考に陥ったのは、十分なオタ活をしなかったからでしょう。

 

少し追い詰められる
    ↓

オタ活を我慢する
    ↓
より追い詰められる
    ↓
さらにオタ活をしなくなる
    ↓
   ︙

という悪循環でどんどん余裕がなくなりました。

こんな分かりやすい悪循環にも気付けない余裕のNASA

最初の段階でもう少し気楽に構えて、映画見に行ったり、イベントの予定入れて気分を前向きにしておけば、あんなに気が滅入ることもなかったでしょう。

ただ、「最初の段階でもう少し気楽に構える」のにもそれ相応の強い精神が求められるんですよね。

精神的な向上心を持って生きていこう

 

終わりに

結局は、心の余裕が良い生産性に繋がる(はずな)ので、心の余裕を保つために、趣味・オタ活は我慢するなってことです。

知らず知らずのうちに、自らにブラック労働を強いていたわけです。

今後の人生に役立つ知見を実体験を通して得られたので良しとしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、

推しイベは何をやっても戻ってこない。

 

院試の闇をかき消す光

院試終わって合否が出てから随分と経ちました。

合格こそが、院試の闇をかき消す光です。

 

ひとつ謝罪をしないといけません。

 

TLに院試の闇を撒き散らして申し訳ありませんでした。

 

少し前の僕なら、「今度は君たちが院試の闇をのぞいで、院試の闇にのぞかれる番だ!」とか何とか言ってるでしょうが、「院試の闇が無くなりますように」と言っておきます。

ロンダリングするぞ!とか言っておきながら本命の試験を受けなかったのでお恥ずかしい限り。

ロンダリングするなら、勉強も、情報集めも、見学もお早めに。試験日程にだけは注意して出願を考えましょう。下手すると虚無が見えます。

ただ、現状に不満があるのはこれから良くなる可能性があるということだし、チャンスがあるなら挑戦するのは良いことだと思います。

他大学、他分野の研究室見て回るたびに、何かしら刺激はあったし、見識は広がったと思うし、ムダだったとは思ってません。

 

ところで先週がちょうど誕生日だったのですが、背中を押してもらえるプレゼントを受け取ったので、非常にありがたいことです。

僕なりに少し思うところがあるので、これからはポジティブツイートを心がけていこうと思います。

 

21歳までの自分に「さようなら」と言って、22歳の自分に「こんにちは」と言いましょう。

 

おわり

ここからがはじまり

飲み会はコミュ力への課金

はじめに

この記事は人生の教訓であり、自らへの戒めです。

 

皆もすなる飲み会といふものを、我もしてみむとてするなり

先週金曜日、人生で初めての飲み会を経験しました。ここで言う飲み会とは、サークルの新歓・打ち上げやバイトの忘年会など一定の組織単位のものではなく、完全有志の小規模の飲み会です。

その飲み会で非常に大きな衝撃を受けました。会話の展開のスピード、話題の多さに驚きました。次々と話題やエピソードが出てくることに圧倒されるばかりでした。これが百戦錬磨の積極的飲み会マンと、消極的飲み会オタクとの“差”なのかと。そこで感じたのは、飲み会はコミュ力への課金だということです。飲み会ってその文字通り、飲み食いする場だと思っていました。もちろんそれも間違いではないですが、それだけが目的では無いように思います。

飲み会は飲食が最終目標なのではなくて、自身のコミュ力を鍛え上げる訓練の場所。というのが、僕から見た飲み会です。飲食は大義名分に近い感じがします。飲み会への参加は、コミュ力の経験値を得てパラメーターをブチ上げることに繋がる。飲み会をしてる人々は飲み食いしながら自己投資をしていたわけです。(ここでのコミュ力とは会話能力だけでなく、話題提供から含めてもっと広い意味です)

そんなことを考えて明確な目標を設定しながら飲み会に参加する人は少数派というか、ほぼいないでしょうが、無意識にコミュ力の向上を感じ、飲み会への参加に対する意義を少なからず感じてるのではないでしょうか。(無論、食べたり飲んだりが単純に好きという人もいるでしょうけれど)

これは全くの余談なのですが、話題にdisりや愚痴が多く何というか闇を感じました。これが人間の卑しさなのでしょうか? どこの飲み会もそんな感じなのでしょうか? 親しいからこそ腹割って話した結果と捉えるべきかも知れませんが、もっと明るい話題だったら良かったのになぁと思うところです。

そして、人生で初めて現実味のある恋愛関係の話を聞くことになったのですが、「自分はまともな恋愛経験が無いだけではなく、もしかしたら他人に恋愛感情を向けたことすら無いのでは?」と思いド鬱になりました。恋愛って何でしょうね。このまま年老いて、独りで死ぬ未来が見えます。

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†悔い改めろ†

飲み会はコミュ力への課金。そんな結論を出した僕は自らの愚かさを思い知りました。 どうしてこんな簡単な方法を知らなかったんだろう? どうして課金しなかったんだろう? もっと早くに知っておけばよかった。もっと飲み会に参加すれば良かった。みんなが20歳で学ぶ・知る・感じることを、21歳5ヶ月でようやく気付きました。たった1年5ヶ月ですが、このブランクはかなり大きく感じています。人生悔い改めます。

 

続・酒をノムカノマヌカ

大反響(?)を頂きましたこちらの記事、読んで下さった方ありがとうございます。

「拗らせすぎ」っていう意見が多かったですが、「愛の反対は憎悪ではなく無関心」と言うので、「話にならんわ」と一蹴されるだけでは無かったので良しとしましょう。

結果を真っ先に言いますが、酒は飲みませんでした。ただ、全く前進していない訳ではありません。

飲み会の経験が少ないので、当然飲み会を楽しんだ経験も少ない。飲み会に行く動機が生まれなくなる。

と書きましたが、飲み会に参加する大きな意義を感じたので、活性化エネルギーは随分下がりました。

そして1年5ヶ月のブランクの一部として、酒の知識の差を感じました。メニューに書いてある酒やカクテルの名前が僕だけサッパリ知らないものばかり。料理名も聞いたことのない横文字ばかりでどんな料理かピンとこないものが多かったです。皆さんお酒にお料理に随分お詳しいのですね。理解できない文字列が多いせいか、メニューのフォントに気を取られてました。

そういえば先日ラジオを聴いていて、酒について印象的なことがありました。ラジオ大阪で配信されている「岩田光央鈴村健一 スウィートイグニッション」という番組の2/4放送分です。スポンサーである大阪アミューズメントメディア専門学校のAMGアシスタント候補生(要は声優の卵?)が担当するコーナーが印象的でした。このときは谷澤真菜さんという人が「ラジオわら人形」という、リスナーの個人的な怒りや愚痴を紹介するコーナーでした。

そこで読まれたのが「苦手な食べ物があることに対して『人生損してる』と言ってくる人にイラッとします。お酒に弱い体質のため、全くお酒を飲まないのですが、それに対しても『人生損してる』と言われます。」という旨のメールです。
以下メール紹介後のやりとり

谷澤さん「私もアンチアルコールでソフトドリンカーなんですよ。でも私も二十歳越えてるのでそういう機会あるじゃないですか。誘われるんですけど、せいぜいファジーネーブル程度なんですね。カシオレはちょっと嫌なんで。女臭いので。なんかカシオレ飲んでる自分好きみないなのあるじゃないですか。」

 

鈴村さん「俺どっちかって言うと好きじゃないよ。カシオレを飲む女性は。」

 

谷澤さん「あ、やっぱそうですよね。そういうやつには成り下がりたくないので…」

 

鈴村さん・岩田さん「(大爆笑)」

 

谷澤さん「飲まないようにはしてるんですけど」

 

鈴村さん「飲まないようにしてる自分もちょっとカッコ悪いですけどね。今ここでラジオで言っちゃう感じがね。」

 

谷澤さん「そうですかね。やってしまいましたね。」

 公共の電波でここまで言ってのける谷澤さん、なかなかロックですね。こういう人がいるは勇気付けられるものです。東山奈央さんがゲスト出演するということで聴いたラジオでしたが、予想外の出会いです。東山奈央さんを追ってると良いことあります。

 

終わりに

飲み会はコミュ力への課金であり、自己投資。なので僕が思うに、何を胃袋に入れるかは些細な問題です。酒を飲む飲まないも誤差です。飲み会という場にいることが大事。参加することに意義があるとはまさにこのこと。僕が酒を飲むとすれば、飲み会に参加する手段になる気がします。飲み会に参加するために店に入るように、飲み会に参加するために酒を飲む。より良い触媒との出会いに期待したいです。

今回の経験を教訓として刻みつけて、コミュ力向上のために積極的飲み会マンへの転生を目指します。
(「目標というか、スローガンのようなもので…」)

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デザイナー元年

はじめに

前回の記事でオタ活を振り返ったように、もう1つ今年の振り返りをしたいと思います。

今年はPSVRが発売されてVR元年とか言われてるらしいですが、僕にとってはデザイナー元年となった1年でした。

 

今年の制作

高頻度でTLに浮上しているツイ廃フォロワー様には今更かとは思いますが、今年はDTPDesktop Publishing)というものに取り組み始めました。本やポスターなどの制作をPC上で行うことです。誌面(紙面)の雰囲気やレイアウト、色使いやフォントなどを決めて制作し、そのデータを印刷会社に入稿までするわけです。
大学サークルで発行している冊子の制作が中心なので、エディトリアルデザインがほとんどですが、スライドやロゴのデザインにも少しずつ手を出しています。グラフィックデザインという言葉が良いですね。

僕がデザイナーとして今年取り組んだグラフィックデザインの制作を順番に振り返っていきます。

  1. 活画古今見聞録 2016spring

    頒布日 4月4日
    アニメーション研究会で発行している部誌で、春部誌と秋部誌があります。春部誌は新入生勧誘で見せるものです。部員がそれぞれ寄稿した文章をまとめています。先輩から編集長兼デザイナーの任を引き継ぎ、デザインとDTPの右も左も分からない状態でPhotoshopIllustratorInDesignと向き合うところから始めました。感覚を頼りにしてイジってるうちにPhotoshopIllustratorはとりあえず使えるようになりました。画像編集フリーソフトGIMPコラ画像作ってた経験と、動画制作でAfter Effectsを使ってAdobeのUIに馴染んでいたのが役に立ちました。
    ただ、InDesignがクセモノで全然分からない。先輩が用意してくれたテンプレートのお陰で大助かりしましたが、InDesignを十分理解しないまま制作が終わりました。特にマスターページの機能と、画像を配置したときのフレームには振り回されました。印刷所への入稿も初めてなので、ルールや守るべきデータの体裁も曖昧な理解で、トドメには紙質やコート加工まで決めろという。分からないことだらけでググり続けたのを覚えています。
    心がけたのは、コンテンツを見開き単位に収めることコンテンツ毎に視覚的な差別化をすること。過去に発行した部誌を見て、ページの途中で記事が変わっていることと、どの記事も似たような見た目になってるのが気になったので改善しました。企画ページみたいなものはなく原稿を載せるものなので、視覚的な差別化って方法が限られるんですよね。そこで各コンテンツの雰囲気を伝えるようにタイトルを文字だけにせず工夫しました。背景も何かしらできると良かったのですが、そこまで考えが至りませんでした。見開き単位に収めるのは、タイトルの大きさを調整して対応しました。(見開きに収めるってエディトリアルデザインの初歩の初歩なんですかね…)
    印刷所から送られてきた完成品を初めて手に取ったときは、自分の書いた原稿が載っていることもあり、嬉しかったり感動したり… 今になって見返すと、改善点や反省点は多いですが、初めての制作良くやったと当時の自分を褒めてあげたいです。デザインの面白さや楽しさは十分に感じました。

  2. 声優同好会の新歓チラシ

    頒布日 4月1日
    頒布日が前述の部誌より先ですが、制作したのはこちらが後なので2番目にしています。
    特に説明は要らないでしょう。新歓チラシ。サークル勧誘のために新入生に配るものです。これはデザインしたと言えるほどデザインしてません。毎年決まりきった形式があるので、去年のものを参考に作り変えました。去年まではPowerPointで作られていましたが、Illustratorで作ったので少しばかり改良しました。揃えるところはキッチリ揃えて、真っ白だった背景を水玉ドットにしました。デザインよりもIllustratorをもう少し練習しようみたいな意味が強かったです。それでも今ならもっと効率的に作れます。当時はまだまだ知らない機能が多かったですから。
    チラシに載せるための地図も作りました。この頃はまだインフォグラフィックなんてものは全く知らないので、今見るとそんなに良い地図じゃないです。

  3. バイト先に提供したポスター

    公開日 4月初旬
    さっきの新歓チラシと同じ理由で、制作順で3番目です。
    バイト先の塾で張り出しました。日付まで覚えてません。ポスターといってもレーザープリンターで刷ったA4です。ビラという表現が適切でしょうか?
    春から新しい教室長がやってきて、教室内の掲示物が一新され、一瞬で創英角ポップ体に埋め尽くされました。理由を聞くと個人的に創英角ポップ体が好きだといいます。随分フォント感がMSOfficeに侵されているようです。僕はデザインビギナーではあるものの、創英角ポップ体の乱用に居心地の悪さを感じるくらいのデザインセンスと知識は持ち合わせています。
    講師個人に貰える引き出しのネームプレートまで創英角ポップ体になり、出勤するたびに創英角ポップ体でプリントアウトされた自分の名前と向き合うのですから我慢の限界です。理由を聞いたついでに苦言を呈したら、「デザインできるんだ? 次のイベントの告知用でポスター作ってみてよ」的なことを言われて、「上等だ。やってやる!」みたいな意気込みで制作しました。
    デザインを勉強したてで、前述の部誌の入稿も終わった頃。自己顕示欲と制作意欲に満ち溢れていたんですね。張り切ってロゴの制作までしました。創英角ポップ体乱用マンとの差別化を図るべく、明朝体を中心にオシャレでスタイリッシュを意識して作りました。
    この制作を気に、教室内の掲示物から創英角ポップ体の出現率が減った気がします。制作した甲斐がありますね。しかし、まだまだ出番があるのでMSOfficeの侵食は根深いようです。次の4月には、創英角ポップ体の自分の名前と向き合い続けて1年になります。ウンザリしてきました。ラノベPOP、けいふぉんと、源柔ゴシックあたりを紹介してあげたいです。
    皆様も創英角ポップ体ハラスメントにはご注意を。今となっては、フォント選びの大切さを語る上で欠かせないエピソードになっています。ありがとうございます(?)

  4. 活画古今見聞録 2016Autumn

    頒布日 11月19日
    こちらは秋部誌と呼ばれるもので、学園祭で頒布しました。
    制作開始は春の怒涛の制作ラッシュから3ヶ月ほど経った、夏休みに入る手前の8月頃。3ヶ月に何をしていたかというと、デザインの本をしっかり読み始めました。今までは付け焼き刃の知識と技術で、手探りで制作していました。しかし、これではダメだと思ってデザインのセオリーとか基本みたいなものを一通り勉強したわけです。マージンと版面、レイアウトの基本構成、タイポグラフィ、色の使い方、そしてそれらの与える印象などなど。それまで全く勉強しなかったわけではないですが、どうしてもソフトウェアの使い方に偏ってました。つまり道具は扱えるようになったものの、その道具で作るべきもののアイデアが抜け落ちていたんですね。
    いくらPhotoshopIllustratorInDesignを知り尽くしても良いものはできません。そのうちアイデアが枯渇して同じものばかりになってしまう。春までは作るべきものが大方決まっていた。ある程度の設計図が出来上がっていたので、それを実現する手段だけで良かったわけですが、それでは限界が見えているので知識強化に努めました。
    本を読んで、僕が感じたのは井の中の蛙大海を知らずです。今まで制作したものを見返すと、改善点が山のように見つかって、どれも基本的なことばかり。本を読み進めるほどに自分が恥ずかしくなっていきます。今まで出来なかったことがちょっと出来るようになって、はしゃいでただけだと気付いて、自らの愚かさと未熟さを思い知りました
    そんな訳で、デザイナーとして新しく気持ちを入れ直して制作に臨みました。2016springと同様にコンテンツは見開き単位に収め、見た目の差別化は申し訳程度のものから、よりしっかりしたものに。特集記事のインタビューや、企画記事もあるのでやりやすかったです。前回は先輩の指導を受けながらの制作でしたが、今回は僕が後輩の指導をしながらの制作になったのが、大きく変わった点です。(といっても完全に自立したわけではなく、先輩にはこのデザインどう思います? みたいな相談はしました)後輩にもしっかり誌面を作ってもらわないといけないので、教えるスキルやマネジメントスキルが求められました。
    追い込みの時期はしんどかったですが、2016springよりは全体的にブラッシュアップされたと思っています。InDesignの扱いも随分馴染みました。
    (無事入稿した翌日には、ばくおん!!のイベントを楽しんできました。仕事終わりのイベントは格別ですね)

  5. 声優同好会イベント用スライド

    公開日 11月19日
    声優同好会主催のイベントで使うスライドです。

    初めての本格的なスライドデザインになります。前述の秋部誌の制作期間中に、後輩に「時間あったらスライドのデザイン直してあげるわ~」みたいなことを無責任に言ってたら、入稿後にホントに仕事が回ってきて、何を思ったか「よっしゃ任せとき!」と言って快諾しました。入稿後でテンションが上がってたか、疲れて判断力が鈍ってたんでしょう。「みりあやんないよ?」みたいに言えればよかったんですが…
    真っ白なスライドに必要な文字だけは配置されていたので、テーマを決めて、コーナーごとに見た目を統一して…といったことをしました。
    この制作をキッカケにフリーフォントを大量にインストールPowerPointでの制作になるので、Illustratorみたいに文字をアウトライン化して変形したり、長体にしたりが不便です。そこでフリーフォントに頼りました。その頃「#推しフリーフォント」というタグが流行っていたので試したかったというものあります。フォントに貧弱なWindows機もマシになったことは大きな収穫です。制作期間1週間というギリギリの制作でしたが何とかなりました。何とかしました。運の悪い(?)ことに制作が佳境の11月17日、なおぼうソロデビューの発表があって、精神状態はガタガタ。完成したのはイベント前日。こんなに疲れる制作は後にも先にも無いでしょう。
    ガタガタな精神状態について詳しくはこちら

    去年までのスライドはPowerPointのテンプレートそのままで、デザインと言うにはデザインに失礼な代物なので、見本になるようなものが一切無い状態。他の大学サークル主催の声優イベントには僕も何度か行っていますが、スライドをじっくり見たことはありません。演者を見ますからね。プレゼンというスライドの本来の用途でもないので、完全に手探りでの制作になりました。しかも本番と同じ状態でテストできるのは前日の夕方1度だけ。
    なるべくシンプルに、かつコーナーごとの雰囲気も出るように心がけました。今までのイベントスライドの中では抜群に良いものだと思います。(比較対象が最底辺なのでそうなりますね…)
    イベントの1週間後、立命館大学 Voice & Animation 研究会主催のイベントに行きました。

    目的はスライドをじっくり見るため。(みかこしのイベントなんで、元から行く予定でしたけど)非常に凝った、見ていて楽しいスライドでした。とてもPowerPointとは思えないデザイン。流石VA研は違うなと思いました。みかこしもスライドの完成度に驚いていたようで、イベント中に何度か「スライドすごいですね…」と言っていました。みかこしは明治大学九州工業大学学習院大学の団体が主催するイベントにも呼ばれているので、その中で見てきたスライドと比べても完成度が高いのでしょう。スライドをデザインした会員が会場警備にいたのか、舞台裏方にいたのか分かりませんが、心の中で大きくガッツポーズをしてるんじゃないでしょうか。声優をデザインで魅了する経験はなかなか出来るものではありません
    負け惜しみに聞こえるかも知れませんが、見た目が豪華な凝ったスライドが必ずしも正解では無いんですよね。もちろんPowerPointのテンプレートや真っ白の背景に文字だけのスライドよりはベターだと思います。僕みたいにデザイン噛じってるオタクとしてはイベントの楽しみが増えるので大歓迎ですが、 会場に来る人は何もスライドが見たくて来てるわけではありません。見ていて楽しい、惹きつけるスライドも主張しすぎると考えものですよね。出しゃばらない名脇役になれるデザインが求められるので、そういったバランスを考えると制作の難易度は非常に高いと思います。

  6. SEIREN 2016WINTER

    頒布日 12月30日
    声優同好会の会誌です。夏コミと冬コミで頒布するため、年2回制作をしています。コミックマーケット91の2日目である昨日、頒布されました。2016SUMMERまでデザインをされていた方がSEIRENの制作から外れられたので、僕が後を引き継いでデザインしました。
    アニメーション研究会の活画古今見聞録とは違い、企画ページが主体で雑誌風です。文字がひたすら続くことはなく、レイアウトも視覚的な要素が多めです。前任のデザイナーさんが2014SUMMERからの5回の制作でデザインの統一化をして下さっていたので、それに倣って今までの雰囲気を維持するように真似もしながら、アレンジもしながらデザインしました。
    テンプレートを作って文字を流し込めば良いものではなくて、レイアウトには悩みましたし頭を捻りました。既に上がっている原稿をどうページに収めるか。ただ収めれば良いというものでもなく、整頓されてないといけない。雑誌風と言いつつも余白多めで落ち着いたオシャレな雰囲気が目指されているようで、賑やかな装飾や裁ち落としは少ないです。それでも見た目スッカスカはマズイので、原稿や量が足りないページは工夫して密度を上げます。こういった部分はデザイナーの腕が試されると思います。その中でロゴや表の制作をしました。表のデザインは初めてでしたが、完全に機能美の追求だと思いました。
    この制作で学んだのはグレーの使い方。SEIRENも活画古今見聞録も本文はグレースケールなので、デザインの本に書いてある色の使い方はあまり参考にならないんです。(グレースケールでの色の使い方を解説してる本があったらぜひ教えて下さい)前任のデザイナーさんが制作したSEIRENの過去号を見ながらグレーの使い方が身に付いてきました。それまでのグレースケールの制作はグレーを活用できず、モノクロみたいになってます。
    というわけで自身の制作物初のコミケを無事乗り切りました。制作者本人はコミケに行ってないので制作物が独り歩き状態ですが。まだ完成品を見ていないので早く見たいものです。

 

夢中になった理由

長くなりましたが以上が今年の制作です。全部で6回。制作時期が集中してますが、2ヶ月に1回の頻度です。1年目にしては頑張ったんじゃないでしょうか。1年でここまでデザインに夢中になった理由として、何か作りたいという気持ちがあったんだと思ってます。

中3からペイントで画像を触り始め
高1になるとムービーメーカーで動画編集を始め
高2で文化祭のクラス発表が動画制作になったので動画編集を担当して、GIMPも使い始め
高3のときの文化祭では、ブロック(学年の縦割り)の動画制作でまた動画編集をして
大学に入ると、アニメ制作を目的にアニメーション研究会に入会しました。KMCにも入ってJavaScriptを書いたり、Blenderで3DCG触ったり、Rubyを書いたりもしました。
そんな感じで色々やってみる中で手を出したのがデザイン・DTPでした。(他のものは端的に言って挫折しました。画像編集はデザインの一環とコラ画像制作で続けています)

そしてDTPに取り組む後押しになったのが目標にもなる良いお手本となる人。アニメーション研究会の先輩と声優同好会の前任のデザイナーさんの存在です。少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。というやつで、影響は大きいです。サークルの仕事を引き受けて、やりたいではなくやらないといけない状況にできたもの良かったかもしれません。

デザインをやってみて勉強してみて分かったのは、デザインが活躍する場面は思った以上に多いということです。身の回りのあらゆるところでデザインが生かされています。それはつまり自分のデザインの知識や技術が役立つ場面も多いということで、これもデザインに夢中になった理由だと思っています。

 

課題と目標

そろそろデザイナー2年目を迎えるのでそれに向けた話をしましょう。

まずはデザインの幅を広げること。読んだ本の影響か、制作物の傾向からなのか、シンプルでスタイリッシュでオシャレな…というと自分でハードルを上げてしまってますが、全体的に落ち着いたデザインは得意です。週刊誌やスポーツ新聞のような賑やかで紙面いっぱいのデザインは苦手です。経験も手頃な手本も無いからどう作っていいのか分からないだけかもですが。色んなデザインができるようになりたいです。

そしてフォントのレパートリーを増やすこと。フリーフォントをインストールしてはいますが、まだまだ使いこなせるフォントが少ない。たまにフォントワークスとかモリサワが欲しくなりますが、一気に手持ちが増えても使いこなせないでしょう。少しずつ増やしていかないと使いドコロを見誤る気がします。本音を言うと、HelveticaOptimaが欲しい(Windows使いの嘆きの声)。ついでにA1明朝体マティスも。ライラもコメットも欲しい。空から降ってこないかなぁ。
一応言っておくと、絶対フォント感が欲しいわけではありません。正直なところ小塚とヒラギノの違いにこだわったり、細かいタイポグラフィにうるさくなるつもりはありません。それよりは適切な場面で効果的にデザインフォントが使えるようになりたいです。フォントはホントに難しいですね。

次にマネジメント能力の強化。プロの現場だと編集者、ディレクターなど役割分担が明確にされてるんでしょうけど、大学サークルで制作をするとデザイナーをしながら編集長の仕事を一部あるいは全部やることになります。そこでマネジメント能力の不足を感じました。声優同好会の前任のデザイナーさんが僕の人生で出会った中で、最もマネジメント能力を持っている人ですが、形に残るものでもないので真似るもの難しいです。直近でどうすれば良いかイマイチ分からないので誰か教えてください。(努力の放棄)どうすればマネジメント能力が身に付きますか? もしドラでも読めばいいですか?

最後、何よりの課題は精神訓練です。活画古今見聞録 2016Autumnの制作前にデザインの本を読んで勉強してからというもの、自身の制作物を他人が見る場に立ち会うのがしんどいです。それまでは制作物に対して誇らしげだったのですが、デザインの知識を得れば得るほど、自分で作ったものを過小評価してしまいがちです。井の中の蛙が大海を知ってしまって愕然として、「所詮は蛙だったんだ…」と頭を抱えている状態です。
なので活画古今見聞録 2016Autumnが頒布される学園祭は全休しました。ただしその代償(?)にイベント用のスライドが使用され、同時に200人超えの人々が見る場に立ち会うことになりました(こっちは流石に休めない)。覚悟はしてましたが、しんどかったです。精神的に。(振り返ってて気付きましたが、イベント用のスライド制作であまりにも自分を追い込みすぎじゃないですか?)SEIREN 2016WINTERが頒布されるコミケに行かなかった理由の一部もこれです。(他の部分は実家ぐらしとか、実家ぐらしとかが占めています)
もちろん立ち会いたい気持ちはありますが、今は怖いもの見たさみたいな部分があるので。改めて胸を張って堂々と制作物を見せられるようになりたいですね。

 

終わりに

動画制作やコーディングへの挑戦と挫折を経てデザイン・DTPに落ち着いたのは巡り合わせも大きいです。今年はかなり制作の機会に恵まれていたので良いスタートダッシュになりました。デザインは楽しいですし、これからも制作と勉強を続けていきたいです。

今年のオタク活動

はじめに

メリークリスマス。皆さん、クリスマスはいかがお過ごしですか?部屋で一人、PCかスマホの画面眺めてるんでしょうね。しかも深夜にオタクのブログをわざわざ読んでくれてるんですね。ありがとうございます。

突然ですが、2016年もそろそろ終わりが近いので今年のオタ活を振り返ります。イベントの話に限るんですけどね。

 

特別な1年

まずは僕のイベンターノートを見ましょう。2015年はイベント13件。2016年は20件。去年から順調にイベント沼にズブズブ入っています。何より、去年は夏休み中である9月が参加数のピークでした。(京まふでステージ毎に複数登録されているだけではありますが)それが今年は、夏休み中である8月と学期中の11月の参加数が並んでいます。次の日に授業があるのに、日帰りで東京行ってイベント参加する自分が恐ろしくなってきました。新幹線で提出課題とかテスト勉強してましたね…

イベントの記憶に時々ソロモンの有機化学が出しゃばってきます。

前置きはこれくらいにして本題に入ります。まあこれを見てください。

  • 『Rhodanthe*のおしゃべりモザイク』 公開収録イベント〜東へ西へ!!/東の巻
    開催日 9月4日
    出演者 田中真奈美 東山奈央

1月1日は正月。2月14日はバレンタインデー。言わなくても分かりますね?9月4日は僕の誕生日です。ここまできたら、今年がどれだけ特別な1年だったかが分かるかと思います。

そしてクリスマスイブである、12月24日に行われたのは

参加できませんでした!非常に悲しい結果です。最近は行きたいイベントに漏れ無く行けていたこともあり、ツライですね。特別な1年は、最高に特別な1年にはなりませんでした。参加していい感じに2016年を締めくくりたかったです。ソロデビューの一件から僕の気持ちが落ち着いたこともあるし、お手紙書きたかったなぁ…(実験のレポートもあるし、研究室配属の件もあるしイベントどころじゃないというのも事実ですが)

次のイベント、ワルキューレ2ndに目を向けましょう!(自分に言い聞かせる)

 

終わりに

以上です。これだけのことが言いたくてブログを書きました。教訓としては“円盤はしっかり積みましょう”ということです。そのために“しっかり稼ぎましょう”

金は働けば戻ってくるが、推しイベは何をやっても戻ってこない。かつて、さばげぶっ!のイベントを逃したときに心に刻み込んだはずのこの言葉を、もう一度刻み込みます。ちなみにですが、今年の収支はマイナスです。原因は新幹線に乗りすぎたの一言です。

それにしても、かわいいですよね。

 直接見たかったなぁ…

東山奈央さんソロデビュー(考察編)

はじめに

2016年 11月 17日 木曜日
声優の東山奈央さんがソロデビューすることが発表されました。一番の推し声優がソロデビューするという知らせは強烈なもので、僕を混乱させました。冷静さを取り戻し、気持ちの整理をするまで驚くほど時間がかかりました。ひとつのケジメとして、こうして文章を書こうと思いました。

こちらは考察編です。現在公開されている情報から東山奈央さんのソロデビューについて考えたものです。感情編で書いた感情の変化も踏まえて書いてる部分もあるので時間があればどうぞ。

 

ソロデビュー自体への不安

今回のソロデビュー発表は、何の前触れもなく急に大量の情報が公開され、まさに電撃発表となった。そのインパクトはすさまじいもので、東山奈央 オフィシャル(@naobou_official)のRTは伸び、フォロワーは爆発的に増え、トレンドにもなった。TLには「なおぼうソロデビューおめでとう」や「やっとソロデビューか。むしろ遅いくらい」という旨のツイートが多かった。

僕が素直に祝って喜ぶことも、冷静に分析することもできず大混乱したのは、情報量の多い電撃発表のためだけではない。主な不安は、ソロデビューには声優本人の人気・注目が直接的に売上という数字で表れやすいことだ。今までのキャラソンリリースやイベントでは、作品やキャラクター、他の出演者の人気も合わさって数字として表れるが、ソロデビューではそれがない。デビューシングル「True Destiny/Chain the world」はチェインクロニクルとのタイアップだが、それでも作品の影響はそう多くないだろう。

これは売上が伸びなかったらどうしようという不安ではなく、売上最重要視な売り方になってしまわないか、という不安だ。電撃発表での話題のかっさらい方、アニメイト秋葉原の入り口正面のショーケースを使った大々的な宣伝、号外“東山タイムズ”の配布。これらが注目をとにかく集めて、この後の売上に繋げようという意図によるものだとしたら、どうしようもなく不安になってしまう。

なおぼうは真面目で堅実な人柄だと思うし、そこが魅力でもある。今までの活動の様子を考えても分かりやすい安易なプロデュースは合わない。万が一いわゆるアイドル売りが強くなると、なおぼうの魅力と上手く噛み合わない心配が出てくる。

Rhodanthe*やワルキューレを始めとして、今は魔法少女育成計画など、最近はフライングドッグ関連の仕事が多い。フライングドッグ側もなおぼうのことをよく分かっているはずだし、変な方向性でプロデュースしないだろうとは思うのだが、秋葉原のアニメショップ5店舗でCDを予約させる“東山奈央スタンプラリー”を実施するあたりは安心しきれない。(これがあまり話題にならないのは、ソロデビュー発表のインパクトが大きすぎるだからだろうか?)

 

“なおぼう”ではなく、“東山奈央さん”

公開された情報を順番に見ていく。まず真っ先に公開された情報、Twitter。一気に様々な情報が公開されたが、注目したいのはアイコンだ。ソロデビュー発表でオフィシャルサイトで公開されている写真が使われている。白を基調とした部屋で、純白の衣装を着て、黒髪が映えている。この写真が不安を増長させた。

今まで見てきた真面目で堅実でありながらも、ユーモアとノリの良さは忘れない、常に楽しそうで感情豊かな、なおぼうと全然雰囲気が違う。作品やキャラに合わせて何かしら色のイメージがあった。それがソロデビューになった途端、どこかに無機質さを感じてしまう写真になった。そこに写っていたのは、東山奈央さん”であり、僕がよく知る“なおぼう”には見えなかったTwitterで投稿される写真も動画も、いつもとは別人であるかのように感じられた。(感情がしんどすぎるあまり、別人だと思おうとしたのかもしれない)
↓“東山奈央さん”に見えたツイート

(↓なぜか、ソロデビュー発表がツイートされる前のこの写真は“なおぼう”に見えた)

オフィシャルサイトも白と黒のモノトーンなデザインで、かなり控えめになっている。なおぼうが喜びそうな言い方をすれば、「落ち着いた大人な印象」。なおぼうは、アクセサリーショップに行っても子供と間違われたのか店員さんに相手にされないくらいに幼く見られるらしい。そのためか、背伸び願望とでも言うべき大人っぽさに憧れていることは感じていたし、アイドルマスターシンデレラガールズ川島瑞樹役について「こういう大人っぽい役を演じてみたかった」という旨のことを語っていたりする。シンデレラガールズのライブパンフレットでも、役に合わせた落ち着いた大人っぽい写真が掲載されているが無機質さは全くもって感じなかった。(この違いを表現するには語彙力不足なので、画像検索して見比べて感じて下さい)

今まで感じたことのない、落ち着きと無機質さ。もしこれが真っ白へのリセット、真っ白からのスタートを表していて、「今までとは違う新しい東山奈央」の始まりになるのだとしたら。そんな考えが頭をよぎって、不安でどう受け止めていいものか分からなかった。

 

表現者 東山奈央

Twitterを見るだけでは、前述の「ソロデビュー自体への不安」で書いたことも合わさって不安しかない。電撃発表を知ったのが実験中で、その後はサークルに行ったので、Twitterしか見られず不安が加速するばかり。アニメイトタイムズのインタビューが大きな意味を持つことは明らかだったので、家に帰るまでは読まなかった。(外で読んでしまうべきだったか、サークル蹴って帰宅すべきだったか、正解はよく分からない)

このアニメイトタイムズのインタビューが、抱えていた不安を解消してくれた。インタビューから見えてきたのは“なおぼう”の姿だった。特に注目したいのはここ。

――いままで東山さんはたくさんのキャラクターを演じ、そのキャラクターソングを歌ってきました。それらキャラソンと、今後活動を行う「歌手の東山奈央さん」の声はどう違いますか?

東山:伝え方がとても難しいのですが、色々と考えてみた結論として、私は「どれが自分の本当の声か?」を決める必要はないと思うんです。

――その理由は?

東山:今までも、積極的に声を変えよう!と思ってお芝居してきたわけではなくて、自分の中のキャラクターのイメージに合うことを考えて演じてきました。そのキャラクターに合う方法を、その都度自分の中から選択してきたと思うんです。歌についても同じことが言えると、実際にやってみて感じました。耳心地がよかったり、記憶に残る旋律だったり、その歌の持つ世界観によって「声」は変わっていくものなのかなと思いました。

個人名義で歌うときに出来ることは、自分の本当の声、つまり、自分の一番歌いやすい声で歌うことではなく、自分が素敵だと感じたままに歌うことなんじゃないかなって。

私は「自分の声を聴いてほしい」という気持ちよりも、「歌をひとつの作品だと思ってほしい」という思いが強いです。素敵な「歌」を、自分の中にイメージとして膨らませて、最大限に表現したいんです。

――なるほど。では楽器や曲調によって、声を変える可能性も?

東山:その可能性もあると思います。バンドサウンドだったら力強く歌ったり、バラードだったらしっとり歌ったりとか、その曲に適した「声」と「歌い方」を見つけていきたいです。ただ、これは今の考えであって、これから新しいものに触れていく中で変わるかもしれないですし、変わってもいいかなとも思います。そういった歌手活動を続けたら、その積み重ねで私も声の幅が広がり、私自身が成長できるかもしれない。

これまでキャラソンを通して歌い続けてきた、なおぼうらしい考えだと思った。この「表現」というキーワードで真っ先に思い出したのが、東山奈央のドリーム*シアターのキャッチコピー。

この番組は東山奈央表現者として色々な魅力を、時にまじめに、時にいい感じにみがいていき、夢を実現していく劇場型ラジオです!

2014年の4月から今まで、なおぼうは自分で「表現者」と週に1回言い続けていたし、僕はそれをずっと聴き続けていた。にも関わらず、表現者としての1つの側面でしかない、声優しか見ていなかった。なおぼうはずっと前から表現者だと言っていたのに、そのことに全く気付かなかった。気付けなかった。表現者であることを考えればソロデビューすることは青天の霹靂でもなんでもなくて、十分可能性があったことだった。気付けなかったことは不覚に思っているし、気付いていれば混乱することも、不安を抱えることもなかった。

歌の世界観を表現したいという、なおぼうの考えを踏まえると、純白の衣装は「東山奈央個人の声を持ち込まずゼロベースで歌と向き合い、その世界観に染まる」というある意味ウェディングドレス的なミーニングだと捉えてもいいのではないかと思う。

さらに思い出したのが、ワルキューレでのインタビュー。

――ワルキューレの5人の中でレイナの声がどう聴こえるかということは考えていましたか?

東山 考えましたね。レイナの場合はハモが多いんですけど、ハモは本来、主戦を引き立たせるためのものだし、合わさったときに自己主張をしてはいけないんですね。でも「この吐息感はレイナが歌っているんだな」みたいなことがほのかに感じられるようにしないと、別の人がハモっている意味がなくなっちゃうというか……。普通のキャラソンだと自分の主線に自分でハモをつけるというのが多いところを、あえてメインボーカルと別の人たちがハモっているわけですから、そこにちゃんと意味を持たせたいなって。5人でユニゾンするときはボソボソ歌ってしまうと全体の音質がこもってしまうので、レイナ感をちょっと脇に置いておいても大きめの音圧で歌ってみたり、ハモだと吐息成分を多くして、邪魔にならない程度にレイナの印象を持たせるという感じで、臨機応変にニュアンスを変えてみたりしています。

 

リスアニ! 2016 SEP. Vol.26.1

――歌う時も役作りをしている感じですか?

東山 はい。ただ、これも『マクロス』楽曲の特徴的なところだと思うんですけど、普通のキャラソンは、そのキャラの内面などを歌っていることが多いですよね。でも、『マクロス』の楽曲は流れるシーンもいろいろで、ワルキューレの場合は歌う人も変わったりしますし、楽曲の内容とキャラクターがイコールではなくって。私の場合だと、レイナがその曲の中で、また別の人になりきって歌っている感覚なんです。例えば『ジリティック♡BEGINNER』は、語尾をしゃくりあげてみたりとか、レイナにしてはかなりアイドルっぽい可愛い歌い方をするんですけど、『NEO STREAM』は少し神秘的というか。ささやくような透明感のあるレイナをイメージして歌っています。いろいろな方向性の楽曲があるので、それぞれの曲の世界のレイナを表現できる楽しさを感じると同時に、レイナから外れてはダメという難しさもあって。本当に繊細な彫刻をしていくようなイメージで歌わせて頂きました。

 

ワルキューレ 1st LIVE in Zepp Walküre Attack! パンフレット

キャラクターを控えめに、歌のことを優先することを既にワルキューレで行なっていた。キャラクター重視のキャラソンから、世界観重視のソロデビューへの通過点とも言うべきステップでもあり、ワルキューレのイベントで何度も言ってた「ここを通過点にして成長していきたい」という言葉を、なおぼう本人は立派に実現している。

そして、号外“東山タイムズ”では

レコーディング当日の朝は、自分が今まで答えてきたインタビューの記事を読んでいました。自分は今までどういう気持ちでお仕事をしてきたんだろう?というのが気になって、雑誌を発掘して。

ふだん自分の記事を読み直すことはあまりないんですけど、久しぶりに読んでみたら過去の自分から刺激を受けたり、思い出させてもらうこともあったりして、やってよかったなと思いました。改めて、歌に込める意志の強さみたいなものが変わったかなと思います。

と語っていて、これが「今までとは違う新しい東山奈央」の始まりになるのではという不安を完全に払拭してくれた。なおぼうは生まれ変わったりするつもりは無くて、今までの積み重ねの結果として、さらにそこに積み重ねようとしている

通過点とも言えるワルキューレを見ていて、Rhodanthe*の活動と経験が繋がっていると感じたのは、以前書いたことでもあるし

なおぼうはワルキューレメンバーの中で1番演じたキャラも登壇したイベントも多いため、随所で他のメンバーを上手く引っ張っていってる様子。リリイベでの盛り上げ方や締めの挨拶の仕方はお手本のような振る舞いだし、ダンスレッスンのときに色々とアイデアを出しているというエピソードはRhodanthe*での経験が生きてるのだろう。

そのRhodanthe*が、単独のライブイベントを行なったり活動の幅を広げ始めたのが2014年の春。そして、なおぼうの表現者としてのラジオ、東山奈央のドリーム*シアターは2014年4月から放送されている。この時期は、なおぼうがアーツビジョンを離れ(2014年4月)、インテンションに移籍(2014年5月)した時期と重なる。決定と発表にはタイムラグがあるとはいえ、なおぼうが望んでいた、やりたかったこと(やりたいこと)が垣間見える気がする。

 

ロゴの意味

デザイナーの端くれの端くれとしてロゴについて考えてみる。オフィシャルサイトの左上に表示されている、筆記体で「nao」と書かれて、o から n に3本の線が弧を描いて繋がっている。アニメイトタイムズのインタビューに

――そうしたら、声優としても新しい演技ができるように?

東山:そうなると嬉しいですね!「声優」と「歌手」、このふたつがお互いに影響し合って、役者としての自分に還元できることがいろいろあるんじゃないかなと、自分のことですがいまからワクワクしています。

というのがあるので、o から出て n に戻ってくる線は、還元のイメージではないかなと思う。

次に3本の線が何を表してるかだが、最初に思いついたのが「アニメ、歌、ラジオ」の普段からなおぼうが携わっている3つの仕事。(アニメと書いてるが、主にアニメが多いだけでゲームでもドラマCDでもキャラクターに声を当てる演技全般という意味。)「表現」というキーワードを踏まえると「アニメ、キャラソン、ソロデビュー」で、1つのキャラクターに焦点を当てたものから、世界観そのものへ表現者としての幅が広がる様子。他にもフライングドックからのデビューであることに注目すると、「Rhodanthe*、ワルキューレ、ソロデビュー」が思いつく。

どちらも他に考えられるものがあるだろうし、解釈の幅は結構広いと思う。端くれの端くれに思いつくのは、この辺りが限界。

 

終わりに

アニメイトタイムズのインタビューを中心に過去の発言も掘り起こしながら、色々と考えましたが、僕の心配や不安はただの杞憂でした。今思い返すと、ソロデビュー発表から1週間のパニックがバカらしくなります。なおぼうは全然変わっておらず、むしろより“なおぼう”らしくなっていると感じました。

オフィシャルサイトとTwitterを見ていて気付いたのが、「アーティスト」という言葉が公式サイドからの直接の発信では使われていないこと。アニメイトタイムズや音楽ナタリーなど、外部のニュースサイト等で使われるのみです。なおぼうもラジオで「個人名義で歌う」といった表現をしています。「芸術家」や「自己表現」といった言葉を連想させやすい「アーティスト」という言葉が、なおぼうの表現者としてのコンセプトには上手く噛み合わないので、あえて避けているような印象を受けました。(他のソロデビューした声優の場合、どれほど「アーティスト」という言葉が使われているか調べてないので、なおぼうに限ったことではないのかもしれませんが。)

ただ、「なおぼうのソロデビューは、事務所やレーベル、ファンに推しに推された結果ではない。なおぼう自身が慎重に考えて決断したものである。」ということは言っていいと思っています。個人名義でCDをリリースするという結果は同じでも、他の声優ソロデビューとは全く別の性質であると感じました。

残る心配を強いて挙げるなら、なおぼうの方向性がブレてしまうことです。これは、なおぼうの表現したものをどう受け取るかという問題で、ファン次第だと思います。表現の幅を拡大させようと新たな挑戦をする今こそ、なおぼうにとって良き応援が必要なのかなと。文章を書くのが苦手や筆不精などと言い訳して、ほとんど手紙もメールも送らず、アニメを見てラジオを聞いてイベントに行って、一方的に享受してきた僕にとっては厳しい結論が出てきました。なおぼうがソロデビューという挑戦をするこのときに、僕も覚悟を決めて一念発起しても良いのかもしれません。

結果の出ない努力はただの言い訳」ですしね。